かわら版

■ 「役員退職金支給時の株価の留意点」 ■

 一般に、役員退職金を支給すると株価が下がると言われています。そのため、先代経営者の退職時期と併せて株式の承継を検討することは、よくある話です。
まずは、【役員退職金を支給するとなぜ株価が下がるか】、このメカニズムについて説明します。非上場株式の原則的評価には、「類似業種比準価額」と「純資産価額」の2 つの評価額があり、会社規模に応じてそれらの評価額を折衷して評価します。

 「類似業種比準価額」の評価額を算出する際には、「配当」「利益」「純資産」の3 つの要素を用いますが、役員退職金を支給すると、このうち「利益」及び「純資産」の要素に影響を与えることになります。殊に、役員退職金は金額も大きいため「利益」の要素はゼロ若しくは著しく低い数値になるでしょう。

 また、「純資産」についても退職金支給に係る多額のキャッシュアウトにより、大幅な減額が見込まれます。以上、類似業種比準価額算出に必要となる3 つの要素のうち、2 つの要素を大幅に減額できることから、評価額が圧縮されるのです(法人税法上の純資産及び役員の退職金保険を活用している場合は要注意)。

 次に「純資産価額」ですが、退職金の支給により多額のキャッシュアウトが生ずる、つまり資産が減少します。資産の減少の結果、純資産も減少するというロジックです。

 以上より、役員退職金を支給すると「類似業種比準価額」及び「純資産価額」の双方の評価額が下がることから、会社規模問わず、事業承継とセットで検討されることが多いものと考えられます。

 ただし、承継のために退職金の支給前期も赤字、退職金の支給期も赤字と、2 期連続赤字となると、3 期前の利益の金額如何で、比準要素数1 の会社に該当する可能性があるため、逆に株価が上がることが稀にありますので注意が必要です。

 仮に比準要素数1 の会社に該当しそうな場合でも配当を出すことで、比準要素数1 の会社に該当しないようには出来ますので、該当しそうな顧問先の場合には配当の検討をされては如何でしょうか(記念配当にならないようにすることが重要です)。


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