かわら版

■ 「相続対策としての家族信託の活用」 ■

 大正 11 年の制定時以来 80 年以上に渡って存在しているにも関わらず、一般の方にはあまりなじみのなかった「信託法」でしたが、近年「家族信託」を中心にその活用方法が注目されつつあります。

 「家族信託」とは、財産の所有者である「委託者」が健在の内に、その財産の「名義」のみを信頼のおける「受託者」に移転し、その権利については委託者が「受益者」として保持し続けるという特殊な契約形態になります。
 生前贈与と異なる点は名義変更のみで実体的権利に変動がないため、契約締結時に不動産取得税や譲渡所得税が課税されない点です。では、権利が動かないのに何のために信託する必要があるのかと疑問を抱く方もいらっしゃると思います。その理由としましては、契約内容を成年後見人制度や遺言に比べてかなり柔軟に設定できることにあります。
 一例になりますが受益者が認知症などで意思決定が難しくなった時、資産の管理や運用を受託者に一任する内容を組み込むことが可能になります。これは成年後見人制度に比べ、管理のみならず運用や売却も任せられるため資産の凍結を防ぐことができる点で優れています。また、受益者が死亡した後に受益権が継承される「第二受益者」、第二受益者が死亡した後の「第三受益者」を明記しておくことで、資産の継承先を数代先に対してまで委託者が定めることができます。
 継承先の法的効力が1代限りである遺言と違い、受託者が管理することで委託者の意思を最長30年に渡るまで反映させることが可能であり、今までになかった円滑な事業継承が可能になります。しかし、最長30年に渡って「受託者」に全てを一任することになりますので、受託者の選任が大変重要になってきます。そこで、「信託監督人」を設定することで受託者の信託業務を監督する機能を持たすこともできます。

 現時点ではまだ認知度が低く、裁判例も少ない「家族信託」ですが、今後の様々な場面での活用が期待できますので、検討してみてはいかがでしょうか。


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