かわら版

■ 我が国の寄附金税制を考える ■

 わが国の寄付文化は他国と比較して国民の中に根付いてはいません。その背景には、寄付金に対する税制上の手当が十分でない点が一因とされています。一方、東日本大震災などの自然災害に対する新たな寄付金税制や法人税における過去の地方創生応援税制、そして今回のコロナショックに対する税制の扱いも今後のわが国の寄付文化を転換させてゆくための重要なターニングポイントとなるでしょう。
 ただその一方で、現場での寄付金税制の制度の煩雑さを解消するために、今後は分かり易さが求められてくるところです。以下にいくつかの留意すべき事項を掲げます。

(1) 所得税と住民税の課税関係の相違点
わが国の寄付金税制の煩雑さの原因はこの所得税と住民税の次の3 点の課税関係の相違にあります。この相違点の解消も早急に望まれるところです。
 ① 所得税は「現年課税で申告納税」であるのに対し、住民税は「前年課税で賦課課税」となっています。
 ② 税率構造と所得控除額の相違点
但し、「社会保険料控除」と「小規模共済等掛金控除」は、所得税も住民税も、控除額は同額で変わりません。
 ③ 寄付金控除の対象となる寄付金の範囲の違い

(2) ふるさと納税―ワンストップ特例制度―
給与所得者にとって、ふるさと納税のワンストップ特例制度は便利ですが、その3 条件には注意が必要です。
① もともと確定申告をする必要のない給与所得者であること
② その年中の寄付先の自治体が5 つ以下であること(1 つの自治体に複数回寄付をしてもカウントは「1」である)。
③ ふるさと納税の自治体に、ふるさと納税ワンストップ特例の申請書を提出すること。
申請と確定申告の両方をした場合、申請は無効となるので注意しましょう。
特にふるさと納税は、返礼品やその使途のあり方に問題があるので、今後のこの制度がその見直しと意識変革の中で健全に発展していくことが望まれます。

(3) 新型コロナウィルス感染症の税制
法人税の取引先支援の損金性は、新型コロナ対応も自然災害と同様扱いですが、ポイントとして感染症予防とセットの復旧支援過程にあることが前提となります。
具体的には、①売掛債権の免除、無利息・低利融資関係、②取引先への無償提供、③オーナーの賃料減額、④チケット払戻しの辞退の例、⑤スポンサーによる復旧支援の例などがあり、国税庁FAQ や所得税や法人税の改正通達で確認できます。


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