相続かわら版

「簡素の原則からくる不公平」

 広く公平に税を負担していくために、「税の三原則」があります。
この三原則とは「公平の原則・中立の原則・簡素の原則」です。
「公平の原則」とは税の負担が、それぞれの負担能力(担税力)に応じてなされることをいいます。
「中立の原則」とは税制が個人や企業の経済活動における選択を歪めないようにすることをいいます。
「簡素の原則」とは税制の仕組みを可能な限り簡素にし、理解しやすいものにすることをいいます。
税は公的サービスの費用を賄うものですが、税制はこの三原則を基本原則として構築されております。

 先日相続の案件でふと気づきました。それが「簡素の原則からくる不公平」です。
どこかで割り切らないと複雑になるからでしょう。
住民税って1月1日に存在する人の前年の所得に掛かる税金です。
つまり 12 月 31 日に亡くなられたら住民税は掛かることなく、1月1日に亡くなられたら住民税は掛かるのです。
この案件は 60 代の現役社長が亡くなられたのですが、毎年確定申告で約 5000 万円の所得があり、亡くなられた年も同じような状況で、所得は 4000 万円以上。
準確定申告で所得税を払うのは当然ですが、12 月に亡くなられたこのケースでは住民税はなし。
仮に1月1日に亡くなられたのであれば住民税は発生し、その金額は 400 万円以上。
結構大きな金額です。
これは「簡素の原則からくる不公平」と言えるかも知れません。
また、償却資産税(固定資産税)も1月1日の所有者に掛かる税金です。
年内に廃棄すれば翌年は発生せず、1月1日以降の廃棄なら1年分全額掛かります。
これも簡素の原則の弊害でしょう。
その一方で、今度の増税で導入される軽減税率、イートインの区分、政府ポイント等々、ちょっと理解できないくらいに複雑になる消費税。簡素の原則が良いように機能しているとはいいがたい現実もあります。


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