相続かわら版

原理・原則の大切さを痛感させてくれた苦い経験

 沖縄では昔から「迷走台風」という言葉があったようですが、最近の台風には、自分達が学校で習った常識を覆すようないわゆる迷走台風も珍しくなりました。過去の経験則に囚われず原理・原則の重要性は、同族会社の株価対策評価でも例外ではないでしょう。

 代表者は離婚協議中、既に内縁関係の方はいらっしゃり、経営者としての器もその方以外にはなかなかいませんでした。突然の代表者への余命宣告、もう時間は残されておらず、事業継続のために選んだ選択が、完全無議決権株式導入と公正証書遺言の作成でした。遺言の内容は、完全無議決権株式を配偶者へ、普通株式は内縁の方へ遺贈するものでした。誰もが、代表者が保有する株式を全て原則的評価方式( この場合一株4 0 万円) でアドバイスしてきたわけです。しかしそれが間違いであることに気づくのは、申告期限後になってしまいました。5 0 % 超の株式を遺贈で取得しても、無議決権株式の評価はかなり低い配当還元方式でよいとういわけです。何故皆でミスに気付けなかったのか、おそらく、相続税対策ではつい今株を持たれている方( すなわちいずれ被相続人や贈与者等) 中心に考え、相続・贈与後の株主構成になかなか想像が行かなかったからでしょう。

 また譲渡等が同一の親族内での移動であるケースが圧倒的に多く、その本質に気付かずに済んできてしまうことも、背景としてあるような気がします。これは無議決権株式発行会社でなくとも、A さんが保有する株式が総議決権数の5 0 % 超であれば、他人のB さんが4 5 %の株式を取得しても同族株主になりません。B さんにとっての評価方式も配当還元方式ですみます。親族外の方への事業承継等を考えていらっしゃる方には、多少参考になるかもしれませんね。例えば、70 % 超を完全無議決権株式にして( 非公開会社では5 0 % 超でも可) 、残りの3 0 % を第三者に事前に譲渡する方法などはどうでしょうかね?

 いずれのケースも固定観念や常識に囚われず、原理・原則を常にしっかりと押さえておく重要性を認識させてくれた出来事でした


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