かわら版

■ 「会計士から見た日本の国債」 ■

 最近著名なエコノミストの中にも財政破綻リスクの警鐘を鳴らす人達がでてきました。
 かなり前から懸念していた筆者にとって、忸怩たる思いがあります。一方で最近元財務官僚の高橋洋一氏が「国債の真実」という本を出版されました。
 そこでの彼の主張はかなり楽観的で、日本銀行を政府の子会社と見立て統合政府バランスシートを独自に算出されております。この中で、ほぼ日銀の債務である日本銀行券等は債務超過額(=負債-資産)にほぼ等しく、実質イーブンだという主張です。
 なぜならば、日銀銀券等は実質利子や返済負担がなく実質債務ではないからです。これが真実ならば嬉しいのですが、実際どうなのでしょうか?
 せっかく会計士の仕事に携わらせてもらっているのですから、日本国政府の連結決算書を調べてみました。少し古いですが2014年12月末現在で純資産額はマイナス451兆円(資産=863兆円、負債1,314兆円)でした。一般企業ならば明らかに破綻状態ですが、日本国債の暴落や金利急騰は起きないばかりか、逆に有事の際には安全な日本国債が買われ、円高にもなってしまいます。やはり自分の認識は根本的に間違っていたのでしょうか?
 今まで安定的であった理由として、国債に対して、(a)国内民間部門のネットの大幅貯蓄(b)海外の機関投資家による保有(c)日本銀行による国債の大量購入等が考えられております。しかしながらこれからも続いてくれるものでしょうか?
 人口の高齢化、海外機関投資家依存の限界そして巨大に膨れた日銀の資産・負債による国債そして通貨円への信頼性を考えると、相当厳しいものがあると筆者は考えております。
 ネットから政府や日銀の連結財務諸表等が引き出せますので、是非皆様も直接分析されることを願う次第です。また日銀債務の実質非債務性の見解に対しても、27年度末現在当座預金残高(市中の金融機関がもっている日銀への預け金)が275兆円あり、これらは本来は日銀への預金(預け金)に市中銀行は拘束されるものではないことから、やはり政府の立派な債務と考えるのは正しいのではと考えますが。


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