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■ 「監査報告書における「意見不表明」」 ■

 株式会社東芝の2016年第3四半期の四半期連結財務諸表について、独立監査人が「結論不表明」とした四半期レビュー報告書を提出したことで、「結論不表明」という言葉が報道されました。また、タカタ株式会社でも2017年期末の連結財務諸表について、「意見不表明」とした有価証券報告書が提出されました。改めて「意見不表明」について、その内容を見ていきたいと思います。

1.意見不表明(結論不表明)とは
 意見不表明とは、監査人が、「会社が作成した財務諸表が、財政状態や経営成績等を適正に表示しているかどうかについて」意見を表明しないことを言います。監査人として、意見を表明するための証拠が不十分なため、適正であるとも不適正であるとも判断することができない場合に出される意見となります。東芝の場合は、期末決算ではなく四半期決算であったため、監査人の手続の相違により、意見不表明ではなく、結論不表明といいます。

2.東芝の経緯
 東芝の子会社であるウェスチングハウス社が2015年12月に買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社について、その企業価値を2016年第3四半期に見直した結果、数千億円もの損失が発生することとなりました。東芝の監査委員会の調査で「この損失は2016年12月以降に認識したのであって、それ以前に相当程度の確度をもって認識することはできなかった」と報告されていますが、監査人はこの報告を受け、損失の計上時期について追加調査を行っています。会計上は損失の認識を行った時に損失を計上すべきであるため、会社が2016年第3四半期以前からこの損失を認識しており、もし仮にそれを隠しているようなことがあれば、損失の計上時期が適切であるとは言えません。
 そのため、監査人は、損失を計上すべき時期が2016年第3四半期でよいのか、決算発表時点では追加調査中であり判断ができなかったため、結論不表明となりました。

 監査人の判断の適切性については、公認会計士協会や会計や監査に携わる実務家、研究者により今後も議論されていくものと思われます。


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