相続かわら版

住宅ローンと団体信用生命保険

~債務控除とみなし相続財産(死亡保険金)の適用あり?~

 35歳でマイホームを購入して住宅ローンを35年返済で組んだ場合、完済するのは70歳の時になりますが、70歳になる前に不幸にも若くしてこの世を去ってしまったら、遺族には家も残りますが住宅ローンも残ってしまいます。

 通常、住宅ローンを組む場合、同時に団体信用保険(以下「団信」という)に加入することを勧められます。そして、その契約者・保険料負担者・受取人はその住宅ローンを融資した金融機関で、被保険者が債務者(被相続人)になっています。

 この団信のおかげで、住宅ローンの完済前に死亡した場合でも金融機関に保険金が支払われることによって、残りの住宅ローンをすべて支払ったことになり、遺族が住宅ローンの負担をしなくてもよい仕組みになっています。

 ところで、相続開始時にはまだ住宅ローンも残っていて、死亡保険金も支払われるとなると、債務控除の対象になるのか、みなし相続財産に該当するのかといったことが気になるところですが、相続税の計算上それぞれの取り扱いはどのようになるのでしょうか?

 まず、団信について、相続税のみなし相続財産になるのはその保険料の全部又は一部を被相続人が負担していた死亡保険金ですが、上記の団信ではその保険料を負担しているのは被相続人ではなく、受取人である金融機関ですので、相続税の課税財産にはなりません。

 となると、住宅ローンだけ債務控除できるのではと思われそうですが、残念ながら債務控除もできません。債務控除の対象となるものは被相続人が死亡したときにあった債務で、確実と認められるものと定められています。団信の保険金で返済される住宅ローンは確実に負担する債務とはなりませんので、債務控除はできないということになります。

 したがって、団信付き住宅ローンの返済中にその債務者の相続が発生した場合には、住宅ローンも団信の死亡保険金も除外して考えればよく、自宅だけを課税財産として評価することになります。


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