平成28年分の相続税の申告状況が国税庁より発表されています。相続財産の内訳は
項目 |
土地 |
家屋 |
有価証券 |
現金・預貯金等 |
その他 |
合計 |
金額(億円) |
60,359 |
8,716 |
22,817 |
49,426 |
17,345 |
158,663 |
割合 |
38% |
5.5% |
14.4% |
31.2% |
10.9% |
100% |
となっています。10年前と比べますと相続財産に占める土地の割合が47.8%から38.0%に減っているのに対して有価証券と現金・預貯金等の割合は36.3%から45.6%へと増加しています。財産が不動産から金融資産へとシフトしてきているのが分かります。
一方相続税の税務調査の状況についても公表されており、平成28事務年度では現金・預貯金等の申告漏れ額が最も多く1,070億円、申告漏れ割合は33.1%となっています。
相続税の調査においては現金・預貯金等は重点的に調査されます。その中でも特に名義預金は重点的に調査されますので注意する必要があります。
無くなれた方(被相続人)が配偶者や子供、お孫さんの名義で預金をしていることはよくあります。生前に贈与をされていない場合、名義上は配偶者等の預金であっても相続財産として申告をしないと名義預金とされて申告漏れを指摘されることがあります。
預金通帳の管理は被相続人がしていたのか、印鑑が被相続人のものか、引出して利用しているのは誰か等が問題視されます。また預金の原資は贈与されたものか、収入を貯えたものか等が過去に遡って調べられます。
現在名義預金となっているものは真正な所有者に名義を変更しておく、あるいは贈与をする等の整理をしておくのも良いでしょう。贈与等をしている場合には贈与の事実を証明する契約書等や、通帳や印鑑を被相続人任せにせずに所有者がしっかりと管理しておく必要があります。銀行印は家族で分けておくのもお勧めです。
因みにジュニアNISAという制度がありますが、子供やお孫さんの名義で株式・投資信託等を購入できるのですが、これなどは法的に認められた名義預金(株式)なので利用しない手はないかも知れません。