相続かわら版

熟慮期間(3 か月)で負の財産(借金等)の確認を十分に!

━いつの間にか借金まで受け継いでしまった相続人━

父・太郎さんは、働き盛りのサラリーマン。
突然倒れると、余命3カ月の末期ガンと診断され、治療の甲斐なく亡くなりました。

相続人は、パートで働きながら家計を切り盛りし、しっかり者の妻・花子さんと家庭を持つサラリーマンの長男・一郎さん、そろそろ結婚も間近な一人暮らしのキャリアウーマン、長女・良子さんの3 名。

亡くなった太郎さんが残した財産は、自宅と土地、妻を受取人にした1,000万円の生命保険に退職金と預金がそれぞれ1,000万円ありました。

しかし、お人好しで頼まれると断れない性格の太郎さんには妻に内緒の借金がありました。
妻に打ち明ける勇気のなかった太郎さんは、死に際に友人に300万円の借金があることを話しただけで他界。
葬儀や名義変更などの手続きで忙しく、借金のことは詳しく調べることができませんでした。

結局、遺産は母・花子さんが、自宅と土地、生命保険を、長男・一郎さんが退職金と預金を相続。
長女・良子さんは相続しないということで遺産分割協議書を作り、それぞれ署名押印しました。

太郎さんが亡くなって4カ月後、突然、金融業者が債権の取り立てにやってくるという思わぬ相続トラブルが家族を襲いました。
その額2,000万円!
相続放棄しようにも既に手続きの期限である3カ月が過ぎ、どうしようもなく、花子さんと一郎さんがそれぞれ1,000万円を負担して太郎さんの借金を返済しました。

数年後、さらに、悲劇が!嵐のような相続トラブルをようやく忘れかけた頃、銀行から父が連帯保証人になっていた借金3,000万円の主たる債務者が破産し、その返済を太郎さんの相続人にという連絡が入りました。

相続放棄の書類だと思いこんでサインした長女・良子さんが確認してみると、それはただの遺産分割協議書で、正式な相続放棄申述書ではなく、良子さんも保証債務の履行の義務が。

(このようなトラブルを防ぐために)
民法では、借金を払って残りがあれば相続する方法(限定承認)や多額の借金など財産の一切を相続しない方法(相続放棄)が認められています。

どちらの場合も家庭裁判所で所定の手続きをしなければなりません。
また、今回のケースのように、債権者のなかには遺族に相続放棄をさせないよう、わざと請求を遅らす悪質な者もいるので注意が必要です。

相続放棄は、借金もなくなる代わりに預金や株などの有価証券、不動産も残りません。
また、生命保険や年金が受け取れなくなることを心配して、相続放棄に踏み切れないという話をよく聞きますが、
死亡保険金も年金もそれを受け取る人の財産であって相続財産ではありません。
したがって、相続放棄しても受け取る権利を失うことはないのです。

熟慮期間(3カ月)に、負の財産(借金、保証債務)の確認をしっかり行うことが重要です。


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