相続かわら版

鉄人になった息子の話

━♪ いいも わるいも リモコンしだい? ♪━

癌になり余命数か月のYさん。奥さん52歳。娘さん27歳(嫁いでいる)。
息子さん25歳(結婚して父母と同居)。子供達の配偶者も含め仲のいい家族。

「争続なんてうちに限ってありえない」そんな思いのまま亡くなられたと思います。
享年55歳。その奥さんが相談に来られました。
「主人の財産は土地と家と預金が3,000万円くらいです」
相続財産を計算すると、奥さんが全て相続すれば配偶者の税額軽減で今回は相続税をゼロにできる状態でした。
そこで、「奥さんはまだまだお若いし、これから2次相続の対策をするとして、今回相続税はあまり掛からないようにしましょうか?」
と提案したところ、

「はい。子供達も私のいうことを聞きますので、
子供達には預金を500万円ずつ相続させて、残りは私でお願いします」
とのことでした。

奥さんの年齢と相続財産のボリュームを考えてこれで良いと作業を進めていたところ、ある日若い男性が事務所にやって来られました。
そう息子さんです。
ただ、何故か、覇気なく、もじもじと、奥歯に何か挟まったように、
「な、、なっとくできないんです、、、こ、、、この遺産の分け方、、、」
「お父さんとお母さんが残した財産、確かにあなたも法定相続分を主張できるけど、同居もしているし、その主張はお母さんとガチンコになると思うよ」
と諭しても、変わらず冴えない表情で、
「納得できない」と続ける彼、、、なんだかいやいや言っているようでした、、、。

もうお分かりですね。
姑とうまくいっていない嫁が正太郎となり、強力なリモコンで息子さんを鉄人28号にしていたのです。
自分の意志ではない行動。
そう、お父さんが亡くなり、崩れたパワーバランスは地底深く、見えないところで燻っていたマグマを噴火させていたのです。

何がいけなかったのでしょうか?遺言書がなかったから?

もちろんそれはそうですが、後から遺言書は作れません。
相続発生後、できたことは遠隔操作で相続に参加できる人間を作らせないことだったと思います。

自分の旦那には言いやすくても、面と向かってお義母さんには言えないものです。
また相続は亡くなられた時点での財産の分け方を決めるのですが、気持ちはそこに行き着くまでの家族の歴史から始まります。

その部分は途中から歴史に参加しているお嫁さんには分からないことも多いはず。
娘さんや息子さんの配偶者も含め、みんな顔が見える状態で遺産分割協議をしていたら、うまくまとまっていたかも知れません。


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