かわら版

■ 大塚家具に学ぶ事業承継の本質 ■

日本の多くの企業で、事業承継について考えるべき時期が来ています。
とかく事業承継というと、株価対策だ、相続対策だ、組織再編だと
税務や法務の技術上の問題に注目しがちですが、忘れてはいけない
大切な点があります。
それは、「経営理念」の承継です。
最近注目された事件に、大塚家具のお家騒動があげられます。
会社の経営権をめぐって、実の父と娘が争ったこの騒動は、多くの注目を集めました。
結果は、娘が創業者で筆頭株主であった父親を追い出すという結末となりました。
ここでは、父親と娘、どちらの経営方針が正しかったかを論じることはできません。
しかし、経営理念の不一致がこの騒動を招いてしまったことは事実です。
経営者が後継者に残すべきものは、財産でもなければ、会社でもありません。
自らがどのような考えの下、事業を営んできたかという
「経営理念」そのものを伝えていくべきなのではないでしょうか。
司馬温公の家訓に「金を積んで以て子孫に遺せども子孫未だ必ずしも能く守らず。
書を積んで以て子孫に遺せども子孫未だ必ずしも能く読まず。
冥々の中に陰徳を積んで以て子孫長久の計と為すに如くはなし」とあります。
子孫の繁栄に必要なものは、財産でも、知識でもなく、日々の積み重ねによる
徳であるということです。この、徳の積み方こそが「経営理念」です。
経営者が、後継者や従業員と「経営理念」の共有をはかれていなければ、
どんなに栄えた会社も事業承継に失敗し、ついには衰退してしまいます。
一方、財産やノウハウの承継に失敗したとしても、経営理念の承継に成功すれば、
企業は必ずよみがえります。
自社株や経営資産の承継は、もちろん大切で、納税の問題とからまり、
経営者や後継者にとって気になる点ではあります。しかし、これらは、
経営理念の承継が成功してこそ活きることなのです。
事業承継が注目される昨今ですが、その本質は、「経営理念」の
承継であることを忘れてはなりません。


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