かわら版

■ 外科的手術と内科的治癒 ■

事業の再生、会社の再建に財務改善という形で携わっていると
よく思うことがあります。それは、財務改善には、外科的手術と内科的な
治癒が必要だということです。
外科的手術とは、バランスシート(貸借対照表)の改善であり、会社の
分割や事業譲渡、合併といった組織再編の手法を使ったものです。たとえば、
会社分割を使って、会社のバランスシートから、利益、キャッシュフローを
生み出す事業のみを切り出して別会社として切り離し、不振事業を何らかの
形で清算していく手法や、M&Aによるスポンサーからの現金出資や現物出資
等で資本を増強し、不良債権、不良資産を償却して財務内容を改善していく
手法など、ドラスティックな手法でバランスシートを改善していくものです。
この手法によると、一体化している会社を分けたり、人材・資産を削減して
いくなど、かなりの痛みを伴う場合や税務上のリスクを伴う場合もあります
が、財務改善の第一弾として非常に効果があります。ただ、その効果が
ずっと続くかどうかはまた、別の次元で考えなくてはなりません。
そこで、内科的な治癒が必要となってきます。内科的治癒とは、バランス
シート重視の外科的手術から、損益計算書重視の収益改善のことです。
外科的手術によって、重い借入負担から解放され、キャッシュフローが改善
された場合、そのキャッシュフローを、有望事業に振り向け、収益力を高めて
いくシナリオ(事業計画)を描き、それを実行していくことです。
これは、いわゆる、P(Plan:計画を策定)D(Do:計画を実行)
C(Check:評価・検証)A(Action:改善)サイクルを繰り返していくことです。
これは、人が手術後に定期的に診断を受けて病気を完治させるプロセスと
同じで、継続的な努力を伴うものです。
このPDCAサイクルはそれぞれ重要なのですが、そのなかで、特に重要なのは、
計画を立てること。それも事業を成功に導くようなシナリオを描くこと。
そして、環境の変化に対応しながら、その計画を実現する意思と行動です。
これが、PDCAサイクルの原動力になるからです。
事業再生、会社再建は、この外科的手術と内科的治癒が両輪になって、
初めて達成できるものですが、通常の企業経営においても、内科的治癒の
一環であるPDCAサイクルを意識して、収益力を高めていくことが必要です。


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