かわら版

■ 東京電力の福島原子力発電所の事故による損害賠償の現状 ■

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力の
原子力発電所事故からまもなく、5年が経過しようとしています。
しかし、いまだに東京電力は賠償金を支払い続けています。東京電力が
公表している情報によれば、2016年1月現在で、賠償金の総額は5兆7,500億
円を超えています。
原子力発電所事故による被害者は、多大で広範囲に及びます。避難による
生活の困窮や倒産等を防ぐために、国が示した中間指針に基づいて、代表的
な損害を類型化して、迅速・公正な賠償を行っています。一定の資格要件や
条件を満たす場合には、定型化された損害額の算定方法を当てはめて、迅速
に賠償金を支払う仕組みを構築しています。対象者で分類すると
①避難した住人等に対する個人賠償。
②法人・個人事業主に対する営業損害に関する賠償。
③地方自治体等に対する公共賠償。
に分けられます。
今回は、法人・個人事業主に対する賠償についてとりあげてみます。
法人・個人事業主に対する賠償は、避難に伴う営業損害や事故による風評や
出荷自粛等による減収等の賠償などがあります。損害額の計算方法は、原則
として、原子力発電所事故の直前の事業年度の決算書に基づいて、事故がな
ければ得られたであろう逸失利益を算定します。逸失利益は、営業利益に固
定費用を加算した貢献利益から貢献利益率を算出し、それに減収額を乗じる
ことにより算出します。
この算定方法では、減収が続いていると賠償が続いていくことになり、売
上が、事故前のレベルに達すると賠償金がもらえないために、事業を復興し
ようという意欲を失わせると指摘されております。避難している事業者等に
対する賠償は仕方ないとしても、風評被害が終わったと思われるような事業
でも、賠償を打ち切ろうとすると商工会などの団体が反対をして、簡単には
賠償を打ち切るのは難しいようです。


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