かわら版

■ あなたはどんな色を描きますか? ■

経営においてはいかに差別化を図るか。個人においては、いかに独創性や
独自性を持つか、ということがよく語られますが、この差別化、独創性に
ついて、なるほど納得!という話がありました。
それは、平成27年11月中、日経新聞で掲載されていた画家の絹谷幸二さん
の「私の履歴書」にありました。そのなかで、絹谷さんは自分が小学生に絵
の描き方を教える際に、絵の具の色をそのまま使ってはいけないと教えてい
る話があります。その内容を紹介いたしますと、絵の具の赤をそのまま使う
のではなく、それに他の色を加えてみる。そうすることで、自分の赤い色が
作り出せる。同じ赤い色でも十人十色。それが絵を描く楽しみにもつながって
いくということです。
これに似たようなことが、料理にも言えます。甘さを引き出すのに敢えて
塩を加える。
辛いカレーにはちみつを加えることで甘味とコクを引き出す。その他、これは
という料理には何等かの隠し味があります。
絵の描き方や料理にしても、定番のこと(当たり前のこと)に何かを加えるこ
とで、その人独自のものが出来上がる。これが独自性・独創性(オリジナリティー)
であり差別化です。
独自性・独創性や差別化を図っていくうえで必要なことは、当たり前と言われ
ていること(いわゆる常識)を一旦素直に当たり前と受け入れるとともに、それ
を今度は違った視点から見つめながら、当たり前のことを疑ってみる。そして
それに何かを足したり、引いてみたりして、自分なりのものを作っていく。
このプロセスで重要なのはまず基本的なことを身につけているということです。
しかし、それは基礎を身につけたうえで応用を図っていくというプロセスとは
別物です。
例えば、ピカソの幼少期の絵画はセオリー通り(基本通り)の緻密な宗教画
でしたが、青の時代を経てキュビニズム、そしてシュルレアリスムへと至る
プロセスは、基礎から応用というより、基礎から独創性ということになります。
産業、技術が発達し、それをもとに成長していく時代には応用ということが
重視されますが、成熟化した社会の中では、基礎、応用、発展、均一化という
だけでは、もはや通用しません。
そのような時こそ、自分の色、自分の味を求めていく姿勢が必要なのでは
ないでしょうか。そして、それが差別化、独自性・独創性につながっていく
のではないでしょうか。
皆さんはどんな色を描きますか?


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