かわら版

世界金融危機の起・承・転・結

最近、「世界的金融危機の背景とその影響」というテーマの講演を受講した。
1980年代の出来事(プラザ合意)―
1990年代の出来事(アジア経済危機)―
2000年代の出来事(世界金融危機)―
21世紀の新しい経済パラダイムの構築に向けて―
といった内容で、アメリカと日本、東アジアを中心に国際経済の起・承・転・結といった調子で
楽しく学ぶことが出来た。

1985年、「世界の奇跡」とも言われる経済的復興を遂げ繁栄する日本に対して、双子の赤字を
持ったアメリカは「レーガノミックス」による「強いアメリカ」の挑戦を行うが成功せず、「プラザ合意」
により「円高・ドル安」が更に進展する。
日本経済は、急激な円高による「円高不況」に突入して行く中でゼロ金利政策がとられ「バブル
経済」となった。実物経済で成長した日本経済が土地や株への投資「マネーゲーム」の渦中に
はまりこんでバブルが崩壊した。

1995年、1ドル79円という円高に対して、再び「強いアメリカ」経済の再建を図る「クリントノミックス」
はドル高を目指し、ドルペッグ制をとっていたアジアは大きな打撃「アジア通貨危機」に遭遇する。
この頃、プラザ合意以前の世界の実物経済とマネー経済の比率9:1は逆転に転じ、「1:9のマネー
経済」へと突入する。
その10年後、世界は肥大化したマネー経済の恐ろしさを知る。

2度にわたる強いアメリカ経済の再建という挑戦も、物やサービスの取引(実物経済)では日本や
ドイツに太刀打ち出来ず失敗したかに見えた。

アメリカが3度目に挑戦した「強いアメリカ」は2000年代の「ITと金融で世界を席巻する」ことであった
ように見える。

そして、バブル状態となりつつあるアメリカの金融とデリバティブ市場の崩壊回避の先送りの決定版
が金融の規制緩和であり、住宅価格の値上りを前提とした返済の見込みのない貸付である「サブ
プライムローン」であった。

世界金融危機を経て、21世紀型の新しい社会と経済のパラダイムはどのように構築すればよいのか。
行過ぎる「マネー経済」の恐ろしさをどう制御すればよいのか。
4度目の「強いアメリカ」の挑戦はいかなるものとなるか。


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