労務通信

「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改定について

 厚生労働省は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合等宛てに、「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改定についての事務連絡を行いました。以前出されていたQ&Aに、いくつか追加等が行われましたので一部ご紹介します。
 ※協会けんぽ福岡支部での取り扱い(弊所で独自に確認を行った)も一部含んでいます。

 Q 被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
 A 傷病手当金の支給対象となりうる。

 Q 被保険者の検査は実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
 A 傷病手当金の支給対象となりうる。

 Q 新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金の支給申請に当たり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か。
 A 健康保険法施行規則(大正 15 年内務省令第 36 号)第 84 条第2項では、傷病手当金の支給申請書には医師等の意見書及び事業主の証明書を添付しなければならないこととされているが、「宿泊・自宅療養証明書」については添付を求められていない。
 ※協会けんぽ福岡支部では、医師の証明を得られない場合に、保健所等から発行される「宿泊・自宅療養証明書」や「就業制限通知書」の添付を求めている。事業主の証明では、医師の証明の代わりとは認めていない。(R4.7月現在)

 Q 被保険者が、新型コロナウイルス感染症の治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか。
 A 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものである。したがって、治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられた場合は、被保険者が疾病、負傷等の療養による労務不能と認められないため、傷病手当金は支給されない。
 なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされている。

 現時点では、Q&Aで記された内容と、協会けんぽ内での取り扱いが一致していない事もあるようですので、今後も注意が必要です。

厚生労働省ホームページ
「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について
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