厚生労働省から標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集の一部改正についてお知らせがありました。改正内容として、在宅勤務・テレワーク時の交通費及び在宅勤務手当の社会保険の取扱いについて追加されていますのでご紹介します。
◆在宅勤務・テレワークを導入し、被保険者が一時的に出社する際に要する交通費を事業主が負担する場合、当該交通費は「報酬等」に含まれるのか。
→ 基本的に、当該労働日における労働契約上の労務の提供地が自宅か事業所かに応じて、それぞれ以下のように取扱う。
当該日における労働契約上の労務の提供地 |
「自宅-事業所」間の移動に要する費用の取扱い |
保険料の算定基礎 |
自宅 |
業務として一時的に出社する場合は実費弁償(「報酬等」に該当しない) |
非対象 |
事業所 |
通勤手当(「報酬等」に該当する) |
対象 |
◆在宅勤務・テレワークの実施に際し、在宅勤務手当が支給される場合、当該手当は「報酬等」に含まれるのか。
→ 在宅勤務手当の取扱いについては、当該手当の内容が事業所毎に異なることから、その支給要件や、支給実態などを踏まえて個別に判断する必要がある。基本的な考え方は以下の通り。
① 在宅勤務手当が労働の対償として支払われる性質のもの(実費弁償に当たらないもの)である場合
在宅勤務手当が、被保険者が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を事業主に返還する必要がないものであれば、「報酬等」に含まれる。
(例)事業主が被保険者に対して毎月5,000 円を渡し切りで支給するもの
② 在宅勤務手当が実費弁償に当たるようなものである場合
在宅勤務手当が、テレワークを実施するに当たり、業務に使用するパソコンの購入や通信に要する費用を事業主が被保険者に支払うようなものの場合、その手当が、業務遂行に必要な費用にかかる実費分に対応するものと認められるのであれば、当該手当は実費弁償に当たるものとして、「報酬等」に含まれない。
◆在宅勤務・テレワークの実施に際し、在宅勤務手当が支給される場合の随時改定の取扱いはどうなるのか。
→ 労働時間の柔軟な取扱い在宅勤務・テレワークの導入に伴い、新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支払われることとなった場合は、固定的賃金の変動に該当し、随時改定の対象となる。
① 交通費の支給がなくなった月に新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支給される等、同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合、それらの影響によって固定的賃金の総額が増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定のいずれの対象となるかを判断する。
② 一つの手当において、実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分がある場合には、当該実費弁償分については「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に含 まれる。この場合、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償以外の部分の金額に変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象とはならない。
今回の改正では、コロナ禍で需要が増した在宅勤務における交通費や在宅勤務手当について社会保険の報酬等に含めるか否かが示されています。これから算定基礎届の提出時期になってまいりますので、テレワークを行われてある場合は事前に確認が必要です。
厚生労働省ホームページ
「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集の一部改正について」
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