労務通信

令和4年10月から施行される法改正等について

 以前の労務通信よりお知らせしていたとおり、令和4年10月から労働保険・社会保険諸法令の改正が施行されます。今回はその中から復習もかねて一部をご紹介します。

◆最低賃金の改定
  令和4年度の地域別最低賃金が公示され、全国加重平均額961円と昨年度から31円という過去最大の引き上げとなりました。
なお、福岡県の令和4年度地域別最低賃金は900円、発効月日は10月8日です。

◆短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大
  常時100人を超え500人以下(厚生年金保険の被保険者数)の規模の事業所が特定適用事業所とされることとなり、当該事業所では以下の全ての要件を満たす方は、10月から健康保険・厚生年金保険の被保険者(短時間労働者)として取り扱う必要があります。
   ・週の所定労働時間が20時間以上
   ・月額賃金が8.8万円以上
(時間外賃金、割増賃金、最低賃金法で算入しないことを定める賃金等は月額賃金から除く)
   ・2カ月を超える雇用の見込みがある
   ・学生ではない(雇用保険の取扱いと同様)

◆産後パパ育休の創設及び育児休業の分割取得

 

産後パパ育休(R4.10.1~)

育休とは別に取得

育児休業制度

(R4.10.1~)

育児休業制度

(R4.9.30まで)

対象期間

取得可能日数

子の出生後8週間以内に

4週間まで取得可能

原則子が1歳

(最長2歳)まで

原則子が1歳

(最長2歳)まで

申出期限

原則休業の2週間前まで※1

原則1か月前まで

原則1か月前まで

分割取得

分割して2回取得可能(初めにまとめて申し出ることが必要)

分割して2回取得可能 (取得の際にそれぞれ申出)

原則分割不可

休業中の就業

労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲※2で休業中に就業することが可能

原則就業不可

原則就業不可

※1 雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます。
※2 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。   
①労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出    
②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)    
③労働者が同意    
④事業主が通知    
なお、就業可能日等には上限があります。     
・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分     
・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

◆育児休業中の社会保険料免除制度の改正
  社会保険料免除対象期間
  ・R4.9.30まで 育児休業開始月から終了日の翌日の属する月の前月まで
(終了日が月の末日の場合は、育児休業終了月まで)
  ・R4.10.1から 現行の免除期間に追加して、育児休業開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合も免除
                    ただし、賞与にかかる社会保険料については、当該賞与月の末日を含んだ連続した1カ月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除対象

◆雇用保険料率の改定
令和4年4月~同年9月までの雇用保険の保険料率と負担の内訳

     内  訳

事業の種類

雇用保険率

失業等給付・育児休業給付の料率

二事業の料率

被保険者負担分

事業主負担分

いわゆる一般の事業

1,000分の9.5

1,000分の3

1,000分の3

1,000分の3.5

計 1,000分の6.5

いわゆる農林水産業

清酒の製造の事業

1,000分の11.5

1,000分の4

1,000分の4

1,000分の3.5

計 1,000分の7.5

いわゆる建設の事業

1,000分の12.5

1,000分の4

1,000分の4

1,000分の4.5

計 1,000分の8.5

 

  • 令和4年10月~翌年3月までの雇用保険の保険料率と負担の内訳

     内  訳

事業の種類

雇用保険率

失業等給付・育児休業給付の料率

二事業の料率

被保険者負担分

事業主負担分

いわゆる一般の事業

1,000分の13.5

1,000分の5

1,000分の5

1,000分の3.5

計 1,000分の8.5

いわゆる農林水産業

清酒の製造の事業

1,000分の15.5

1,000分の6

1,000分の6

1,000分の3.5

計 1,000分の9.5

いわゆる建設の事業

1,000分の16.5

1,000分の6

1,000分の6

1,000分の4.5

 

 10月からは被保険者負担分の雇用保険料率も変更になりますので、給与計算の際に変更漏れがないよう注意が必要です。

厚生労働省ホームページ
 「地域別最低賃金の全国一覧」
  こちら

厚生労働省ホームページ
 「育児休業ミニリーフレット」
  こちら

日本年金機構ホームページ
 「令和4年10月から短時間労働者の適用拡大・育休免除の見直し等が行われます」
  こちら

厚生労働省ホームページ
 「令和4年度雇用保険料率のご案内」
  こちら


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