医療福祉経営通信

奨学金の無利息貸付及び返済債務免除により看護学生等が受ける経済的利益の課税関係について

病院によっては、必要な看護師又は助産師の確保を目的として、奨学金規定を設けて、看護学生に対して奨学金の無利息貸付けや返済義務免除を実施している場合があります。このような奨学金の無利息貸付けや返済義務免除により、学生が享受することとなる経済的利益に対する課税関係の有無について検討する必要があります。

この点、税務上の取り扱いとしては、一定の要件のもと課税しなくて差支えないとされており、国税庁のHPでは、このような奨学金に関する取り扱いに関する事前照会に対する文書回答事例が掲載されていますので参照してください。

この照会事例では、主に以下の点に関して判定された結果、所得税基本通達9-15に準じて課税しなくて差支えないものとされています。

・業務遂行上の必要性があるか
・看護師等の資格は、病院の使用人としての職務に直接必要なものであるか
・病院の使用人等に対して支給するものであるか、特定の者に利益を与える等恣意的要素はないか
・適正な手続きに基づく貸与であり、貸与する奨学金額が妥当な額であるか

【参考】
(所得税基本通達9-15)
使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員または使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。

           篠原公認会計士事務所グループ 医療経営かわら版推進室


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