労務通信

育児介護休業法の一部を改正する法律案概要について

 令和6年3月12日、育児介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案が国会へ提出されました。今回はその中から、育児介護休業法の改正案について一部ご紹介します。

◆改正の趣旨
 男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずる。

◆改正の概要 
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
 ① 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。
※ 始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択
② 所定外労働の制限 (残業免除) の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子 (現行は3歳になるまでの子) を養育する労働者に拡大する。
③ 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
⑤ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。

2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1,000人超)の事業主に拡大する。

3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
① 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
② 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
③ 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④ 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。 等

 なお、交付期日は令和7年4月1日(ただし、1①及び⑤は公布の日から起算して1年6月以内において政令で定める日)とされています。

また、以前ご紹介しておりました、雇用保険法の育児休業給付率引上げ等につきましても、今後、改正法律案を提出予定とされていますので改めてご紹介いたします。

◆育児休業給付の給付率引上げ
見直し内容
 ○子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。(令和7年度から)
※ 配偶者が専業主婦の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。

◆育児時短就業給付の創設
見直し内容
 ○被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時間勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付を創設。(令和7年度から)
 ○給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間での勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10とする。

厚生労働省ホームページ 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案の概要」
こちら


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