労働基準法施行規則の一部を改正する省令が公布され、令和5年4月1日施行されることに伴い、資金移動業者(〇〇Pay等)への資金移動による賃金支払い(賃金のデジタル払い)が可能となります。
改正の趣旨として、賃金の支払方法については、従来から、通貨のほか、労働基準法施行規則第7条の2第1項において、使用者は、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預貯金口座への振込み等ができることとされてきました。 昨今、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られます。このような状況を踏まえ、今般、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払をできることとする改正を行ったものです。
これに伴い、厚生労働省から賃金のデジタル払いに関するQ&Aが公表されましたので、一部ご紹介します。
◆賃金のデジタル払いは必ず実施しなければならないのでしょうか。
→賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。
労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。
賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。
◆いつから賃金のデジタル払いが可能になるのでしょうか。
→(1)令和5年4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行うことができます。
(2)申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定します。この審査には、数か月かかることが見込まれます。
(3)その後、各事業場で、賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結いただく必要があります。(詳細は以下の回答もご覧ください)
(4)その上で、労働者は賃金のデジタル払いの留意事項や説明を聞き、理解した上で、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出することが必要です。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座で受け取ることができるようになります。
◆賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きを教えてください。
→事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲や取扱指定資金移動業者の範囲等を記載した労使協定を締結する必要があります。
その上で、賃金のデジタル払いを希望する個々の労働者は、留意事項等の説明受け、制度を理解した上で、同意書に賃金のデジタル払いで受け取る賃金額や、資金移動業者口座番号、代替口座情報等を記載して、使用者に提出することが必要になります。
上の回答にある留意事項や同意書については、厚生労働省のホームページに様式例が掲載されていますので参考にされてください。
厚生労働省ホームページ
「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」
こちら
「同意書の様式例」
こちら