Q.非常勤医師と雇用契約を締結していますが、委託契約とすることはできますか。
A.民法上、雇用と委託については以下のように定義をされています。
雇用… 労務に服することを約する契約(民法第623条)
委託… ある法律行為を成すことを約する契約(民法632条)
その区分が明らかでない場合には、以下のフローチャートに示す事項を総合勘案して、
個々に判断をすることとされています。
どちらに当てはまるかによって以下の点に注意が必要です。
◆支払側の相違点
雇用 ⇒ 消費税 … 課税対象外
源泉徴収 … 必要
委託 ⇒ 消費税 … 課税仕入
源泉徴収 … 必要なし
◆医師側の取扱い
雇用 ⇒ 給与所得
委託 ⇒ 事業所得 若しくは 雑所得
一般的には、勤務医の実際の勤務については、次のようになっていることが多いと思い
ます。
①医療機関(院長等)の指揮命令によって提供した診療行為の対価として、概ねあらかじめ
定められた基準に従い報酬を受けている。
②医療機関が準備した診察室等にて診察を行い、必要な医薬品・診療材料等も医療機関が
負担している。
③定期的に勤務し、その勤務時間もあらかじめ決められている。
以上のことを総合的に勘案すると、
医師と医療機関との契約は「雇用契約」に準じた契約に該当するものがほとんどであると
考えられ、勤務医が受け取る報酬は給与所得に該当するものがほとんどと考えられます。
「委託契約」に該当するものとして、事業所得・雑所得等に該当するケースは、独立的な
要素が強いものに限られるのではないかと思われます。
篠原公認会計士事務所グループ 医療経営かわら版推進室