医療福祉経営通信

[Q&A] 支出した研修費・教育訓練費の法人税法・所得税法上の優遇規定

Q1.当医院では、今回看護師や介護職員に研修を受けさせました。この費用について「教育訓練費の
税額控除」の規定の適用を受けることができると聞きましたが、どのような内容ですか?

A.
この規定の内容は、中小企業者等がその支出した研修費等の8~12%を、法人税又は所得税から控除
することができるというものです。
この規定が適用できる要件は、以下とおりとなっています。
(1) 適用対象となる中小企業者等
 法人:資本金基準…1億円以下
     従業員基準…資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下
 個人:従業員基準…常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主

(2) 適用対象となる年度
 法人:平成20年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度
 個人:平成21年から平成23年までの各年

(3) 整備資料等
 法人・個人に共通して、研修の実施年月日、内容、参加者名、研修費用等を記録しておく必要があり
ます。

また、税額から控除できる額は次の通り計算されます。
① 教育訓練費割合が0.25%以上である場合 … 教育訓練費の額×12%
② 教育訓練費割合が0.15%以上かつ0.25%未満である場合…(教育訓練費割合-0.15%)×40+8%
 ※ 教育訓練費割合…教育訓練費/労務費(給与+賞与+法定福利費+教育訓練費)
ただし法人税については、法人税額の20%、所得税については事業所得に係る所得税額の20%が限度と
されています。
        

Q2.次のような費用でも教育訓練費の税額控除の適用ができますか?
Ⅰ.外部の講師に支払った講師料
Ⅱ.当医院の院長が研修に行ったときのその研修費用
Ⅲ.研修に係る交通費・旅費等

A.
Ⅰについては教育訓練費に該当しますが、ⅡⅢの費用については教育訓練費には該当しません。

(1) 教育訓練費の範囲
 この制度の対象となる教育訓練費とは、法人叉は個人事業主がその使用人の職務に必要な技術や
 知識を習得させ又は向上させるために支出する費用で以下のような費用をいいます。
 ① その使用人に対して教育、訓練、研修、講習などを自ら行うために講師又は指導者(その法人の
 役員又は個人事業主若しくは使用人を除きます。)に対して支払う報酬、料金、謝金及びその教育
 訓練等のために施設、設備などを賃借する場合におけるその使用料など
 ② 委託を受けた他の者が教育訓練等を行う場合に、その委託を受けた他の者に対して支払う費用
 ③ その使用人を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合に支払う授業料、受講料、受験手数料など
 ④ 教育訓練等の用に供する教科書、教材などの購入又は製作に要する費用(製作とは、他の者に
 委託して製作をした場合に限ります。)

(2) 教育訓練の対象者
 教育訓練の対象者となるのは法人又は個人事業主の使用人です。使用人は一般的には正社員、契約
 社員、パート、アルバイト等が該当します。
 ただし、次に該当する者については、その対象から除かれます。
 ① その法人の役員又は個人事業主の親族
 ② 役員又は個人事業主と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
 ③ 上記①②以外の者で役員又は個人事業主から生計の支援を受けている者
 ④ 上記②③と生計を一にするこれらの者の親族
 ⑤ 使用人兼務役員

篠原公認会計士事務所グループ 医療経営かわら版推進室


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