労務通信

65歳以上の兼業・副業者への雇用保険適用拡大について

 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)により、雇用保険の高年齢被保険者(65歳以上の被保険者)の特例に関する規定が令和4年1月1日から施行されることとなりました。それに伴い、令和3年7月21日に、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第125号)が公布されましたので、改正の概要についてご紹介します。

兼業・副業者に係る雇用保険加入条件
【現行制度】
・1事業所で週所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込み。
・複数の事業所で就労する場合は、それぞれの事業所ごとに適用要件を判断する(労働時間を合算しない)。

【主な改正内容】
 ・令和4年1月1日以降、65歳以上の者を対象として、本人の申出を起点に2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を施行する。

制度の対象者となる要件(雇用保険法第37 条の5第1項各号)
① 2以上の事業主の適用事業に雇用される65 歳以上の者
② ①のそれぞれ1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20 時間未満
③ ①のうち1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間の合計が20 時間以上

例) 
A事業所 週・所定14h
B事業所 週・所定10h

AとBを合算して週20時間以上であるため、65歳以上の労働者の申出を起点として雇用保険を適用。
※週所定労働時間が5時間以上の事業所のみ合算の対象となる。
            ↓
      その後A事業所を離職した場合
            ↓
Aを離職し、週20時間を下回るため、
・Aで支払われていた賃金額を基礎として給付。
・被保険者ではなくなるため、以後、保険料を徴収しない。

 また、当該申出により高年齢被保険者となろうとする者又はなった者について合算した週の所定労働時間等の就業状況を、その雇用する事業主が把握し、各種の手続を行うことは困難であるため、通常事業主がその事業所を管轄する公共職業安定所に対して行う雇用保険に関する事務について、当該労働者本人が本人の住居所を管轄する公共職業安定所に対して行うこととし、これに伴う所要の規定の整備を行うこととしています。

厚生労働省ホームページ「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(高年齢被保険者の特例)」
こちら


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