以前お伝えしておりましたとおり、4月から「出生時育児休業給付金」、「育児時短就業給付金」が開始されたことで、厚生労働省HPで公開されている育児休業等給付のQ&Aが更新されていますので、既存の内容も含めて一部ご紹介します。
Q:雇用保険制度では、育児のためにどのような給付金がありますか。
A:(1)子を養育するための休業(産後パパ育休または育児休業)をした場合に受け取ることができる育児休業給付(出生時育児休業給付金と育児休業給付金があります。)及び出生後休業支援給付金と(2)子を養育するための時短勤務をした場合に受け取ることができる育児時短就業給付金があります。育児休業給付(出生時育児休業給付金と育児休業給付金)、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金を総称して「育児休業等給付」といいます。
Q:出生時育児休業給付金は、性別に関係なく受給できますか。
A:出生時育児休業給付金は、原則男性を対象とした給付金です。
※産後休業(出産日の翌日から8週間)は出生時育児休業に含まれないため(産後6週間を経過した場合であって、被保険者の請求により、8週間を経過する前に産後休業を終了した場合であっても、産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされます。)、基本的には女性が出生時育児休業給付金を受給できるのは、養子の場合に限られます。
Q:出生時育児休業を3回に分割して取得しましたが、3回とも出生時育児休業給付金を受給できますか。
A:出生時育児休業は2回まで分割取得ができるため、3回目に取得した出生時育児休業については、出生時育児休業給付金の支給対象外となります。なお、3回目の出生時育児休業について、被保険者と事業主との間で育児休業に振り替える旨合意すれば、育児休業給付金として別途支給申請することもできます。
Q:出生時育児休業を30日間取得しましたが、出生時育児休業給付金を受給できますか。
A:出生時育児休業給付金の支給は28日間が限度のため、28日分のみの支給となり、28日間を超える分については、支給されません。なお、29日目以降に取得した出生時育児休業について、被保険者と事業主との間で育児休業に振り替える旨合意すれば、育児休業給付金として別途支給申請することもできます。
Q:第1子に係る育児休業給付金を受給中に、第2子を妊娠した場合に、第1子の育児休業給付金はいつまで支給されますか。
A:第2子に係る産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は、出産日)に第1子に係る育児休業が終了することとなるため、第1子に係る育児休業給付金については、産前休業開始日の前日(産前休業を取得しない場合は、出産日)までの支給となります。
なお、第2子の育児休業開始時点において、受給資格を満たせば、第2子に係る育児休業給付金を受給することが可能です。
Q: 出生後休業支援給付金が支給される期間に賃金が支払われた場合、支給額はどうなりますか。
A:出生後休業支援給付金は、育児休業給付(出生時育児休業給付金または育児休業給付金)とは異なり、賃金が支払われた場合の支給額の減額はありませんが、育児休業給付の支給額が0円となった場合は、出生後休業支援給付金の支給額も0円となります。
出生後休業支援給付金は、育児休業給付の支給が前提となりますので、出生後休業支援給付金のみが支給されることはありません。
Q:令和7年4月より前から産後パパ育休・育児休業を行っている場合、出生後休業支援給付金の支給要件には該当しますか。
A:令和7年4月より前から引き続いて育児休業をしている場合、令和7年4月1日に休業を開始したものとみなして支給要件を確認します。
Q:育児休業を取得予定ですが、育児休業中に在職中の事業所を退職することを予定しています。この場合も育児休業給付や出生後休業支援給付金の対象となりますか。
A:育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。
このため、育児休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付及び出生後休業支援給付金の支給対象となりません。ただし、育児休業給付金の受給資格確認後に退職することとなった場合は支給対象となります。
なお、育児休業給付金の支給対象期間中に退職した場合は、その退職日まで支給対象となります。※この取扱いは、令和7年4月1日以後に退職した方から適用します。令和7年3月31日以前に退職した方の場合は、退職日を含む支給単位期間の一つ前の支給対象期間までが支給対象となります。
Q:育児時短就業給付金の受給資格を教えてください。
A:育児時短就業給付金は、次の(1)及び(2)をいずれも満たす方が対象です。
(1)2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮することによる就業(以下「育児時短就業」といいます。)する被保険者であること
(2)育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児休業に係る子と同一の子について育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に賃金基礎支払日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月あること
Q:育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き同一の子について育児時短就業を開始した場合とは、育児休業から復帰した日から育児時短就業を開始した場合を指すのでしょうか。
A:育児休業から職場復帰した日(復職日)から育児時短就業を開始する場合に加え、育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合をいいます。
Q:出産に伴いフルタイムの仕事を退職し、出産後にしばらくしてからパートタイムなどで再就職した場合は、育児時短就業給付金の受給資格はありますか。
A:被保険者が子を養育するために短時間正社員、パートタイム労働者等に転職したことに伴い、転職前と比べて1週間当たりの所定労働時間が短縮されている場合は、育児時短就業と取り扱います。
ただし、育児時短就業給付金を受給するためには、育児時短就業開始日前2年間に賃金基礎支払日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月あることが必要です。転職前に被保険者でなかった期間が長い場合は、この要件を満たさないことがあります。
給付の種類が増え、その分内容が複雑になっていますので、一度Q&Aの内容等を整理しておきましょう。
厚生労働省ホームページ 「Q&A~育児休業等給付~」