医療福祉経営通信

[Q&A] 社会医療法人について ②

Q3.社会医療法人のメリット・デメリットについて教えてください。

社会医療法人には、次のようなメリット・デメリットが考えられるため、移行する場合にはメリット・デメリットを
詳細に検討した上で移行する必要があります。
(1)メリット
社会医療法人は法律上収益業務の実施や社会医療法人債の発行が認められています。 
税制面においても法人税法上収益事業とされる34種類の特掲事業の範囲から医療保健業(附帯業務を除く)が
除外されたため医療保険業部分を除く特掲事業のみ法人税が課税されることとなりました(原則として本来業務は
非課税の取扱いとなりました)。
その他、固定資産税等においても利用実態に応じて非課税の取扱いとされました。

また、持分を放棄しますので相続税の課税対象にならず、社員の退社に伴う持分の払い戻しや社員の死亡に伴う
持分への相続税課税を回避できることから、経営上の財務的リスクも軽減できます。
加えて、社会医療法人は所得税法別表第一(公益法人等の表)に追加されたため、利子・配当等についても
所得税が課税されません。

(2)デメリット
社会医療法人は、社員・役員及び評議員に関して同族関係者の比率を3分の1以下としなければならず、
社員、評議員、理事、監事、使用人等に対し特別の利益を与えることが禁止されています。
また、医療法第30条の4第2項第5号に規定される救急医療等確保事業を実施していなければなりません。
税制面においては、社会医療法人の医療保健業にかかる所得には法人税は課税されませんが、万が一
認定の取消を受けた場合は、この課税されなかった所得の累計額が益金の額に算入されます。
社会医療法人の要件を満たさなくなった場合は、認定の取消を受け、巨額の納税が発生するリスクがあることを
認識しておく必要があります。
解散時の残余財産については、定款又は寄附行為において国、地方公共団体又は他の社会医療法人に
帰属する旨を定めていなければなりません。

メリット・デメリットの詳細については

こちら

を参照ください
 
Q4.社会医療法人の所得と課税関係について教えてください。

社会医療法人は公益法人等に該当することとなっております。
法人税法では、公益法人等は、収益事業を行う場合に限り、法人税を納める義務があるとされています。 
ただし、社会医療法人が行う医療保健業(附帯業務として行うものを除く)については収益事業の範囲から
除外するものとされました。

Q5.社会医療法人の認定に伴う税務上の注意点について教えてください。

一般の医療法人が認定を受けて社会医療法人に該当することとなった場合には、普通法人が公益法人になるため、
課税所得の範囲が異なることとなります。よって、普通法人は認定を受けた日の前日に解散したものとみなされます。
税務上は、以下の点に注意する必要があります。
(1)一般の医療法人の最終事業年度
   ①欠損金の繰戻しによる還付の規定を受けることができます。
   ②国庫補助金等に係る特別勘定の金額の取崩しを行います。
   ③保険差金等に係る特別勘定の金額の取崩しを行います。
   ④貸倒引当金の繰入を行うことができません。
   ⑤一括償却資産の残額について全額損金に算入されます。
   ⑥資産にかかる控除対象外消費税等の残額について全額損金に算入されます。
   ⑦退職給与引当金勘定の残額について全額取崩し、益金の額に算入されます。
(2)社会医療法人の最初の事業年度
   ⑧青色欠損金、災害損失金および期限切れ欠損金の繰越を行うことが出来ません。
   ⑨欠損金の繰戻還付を受けることができません。
   ⑩受取配当の益金不算入について、簡便法の適用が出来ません。
   ⑪一括評価金銭債権に係る貸倒引当金について、貸倒引当金の繰入限度額がゼロとなります。      

「出典:MMPG 資料より一部抜粋」
篠原公認会計士事務所グループ 医療経営かわら版推進室


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