医療福祉経営通信

療養病床転換施策の現状

~介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設について~

■療養病床転換政策のこれまでの経緯
平成17年12月に厚生労働省の医療構造改革推進本部が、医療費削減のために長期の療養を減らす目的で、
「社会的入院」の多い介護型療養病床を平成24年3月31日までに廃止して、介護施設等への転換する方針
を公表しました。
そこで、療養病床が最終的に老人保健施設やケアハウス等へスムーズに転換できるよう、これまで様々な
転換支援措置が打ち出されましたが、結果は芳しいものではありませんでした。
そのため、平成24年3月31日までに廃止することとされていた介護型療養病床については、実質的に廃止
することは困難として、平成30年3月31日まで廃止期限が延長されています。
 
■今後の療養病床削減・再編施策の動向
平成24年は、診療報酬と介護報酬の同時改定の年となります。そのため、療養病床の転換を推し進める為
の施策が検討されています。
社会保障審議会の介護給付分科会で議論が行われ、以下の6つの論点が課題として挙げられました。

*論点1*
療養病床再編成を一層進めるために、より医療の必要性の高い利用者を受け入れる介護療養型老人保健
施設を高く評価するとともに、介護型療養病床については適正化を行ってはどうか。

*論点2*
介護型療養病床が有床診療所を併設した介護療養型老人保健施設に転換する場合に一定の範囲内で介護
療養型老人保健施設の増床を認めることとしてはどうか。

*論点3*
介護療養型老人保健施設における看取りがより円滑に行われるよう、ターミナルケア加算の見直しを行っ
てはどうか。
また、看取りを積極的に行う施設であることから、従来型の介護老人保健施設とは区別してはどうか。

*論点4*
現在設定している施設基準の緩和等の転換支援策については、円滑な転換を推進するため転換期限の延長
に併せて延長してはどうか。

*論点5*
平成24年3月31日までに、介護老人保健施設等に転換することを前提に人員配置基準緩和している経過型
介護療養病床については、平成30年まで転換期限を延長することが検討されているが、新規の指定は認め
ないこととしてはどうか。

*論点6*
個室ユニットの推進方策について介護老人福祉施設と同様の対応をとってはどうか。

■療養病床を再編した場合の試算の準備
平成24年診療報酬改定等において、医療療養病床の医療区分の見直しや介護型療養型医療病床の施設サー
ビス費引き下げが検討されています。 
他方、転換の受け皿として期待されている介護療養型老人保健施設ではより高い評価の報酬区分等も検討
されています。
過去に1度は試算を実施した医療機関においても、今後の動向を踏まえ、改めて療養病床再編に関する試算
を再度行うためにも、対象となる施設を有する医療機関は準備が必要ではないかと思われます。

詳細は平成23年11月10日の介護給付費分科会資料を参照ください。

           篠原公認会計士事務所グループ 医療経営かわら版推進室


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