印紙税は、作成される様々な文書の内、印紙税法により「課税文書」として定められている文書を作成した場合に、当該文書が課税文書かどうか自ら判断し、貼付と割印をすることによって納付するという「自主納税方式」を原則としています。
その中で、介護サービス事業者が要介護認定を受けた者から介護サービスに係る費用を受領した場合に発行する「領収書」に印紙貼付を必要とするかどうか注意が必要です。 印紙税法において、介護サービス事業者が要介護認定を受けた者から介護サービスに係る費用を受領した場合に作成する「領収書」は,第17号の1文章(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)に該当するためです。
この点、社会福祉法人、医療法人、行政庁の公益認定を受けた公益社団法人・財産法人及び公益認定を受けていない一般社団法人・一般財産法人(法令の規程又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができないもの)が開設者である場合、介護サービス事業者として領収書を発行する場合は貼付が必要とされていません。
なぜなら、印紙税法においては次の場合に非課税とされているからです。
① 地方公共団体そのものが作成者であるもの
② 記載された受取金額が5万円未満(平成26年3月31日以前は3万円未満)のもの
③ 営業に関しないもの・・・営業に関しないものとは、領収書の作成者が「公益法人、社会福祉法人又は医療法人等」であるもの及び「公益社団法人・公益財団法人及び一般社団法人・一般財団法人のうち法令の規程又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができないもの」等であるものはこれに該当します。
つまり、医療法人等が直接開設するのではなく、例えばMS法人など株式会社等,上記による法人以外の法人組織等により開設されている介護事業所が利用者に発行する領収書には印紙貼付が必要となるため注意が必要です。
その他、利用者との間で介護保険制度化において作成される契約書については、過去の国税庁からの回答を参照すると、「利用者が受けることができる介護サービスの具体的な内容が記載されていますが、これらの個々のサービス内容及び料金は、原則として、利用者の要望に沿った介護サービス計画に従い、利用者が全体として適切なサービスの提供を受けるために記載されているものと考えられています。
この契約書については、第2号文章の請負に関する契約書に該当することになるか迷われるところですが、上記の解釈の基、原則として、民法上の請負契約に該当しないため課税文章にはならないと考えられているようです。
このため、原則として印紙は必要とされていません。