医療福祉経営通信

平成30年診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等の報酬改定の概要について

【平成30年度診療報酬改定について】
診療報酬の改定率については全体で△1.19%、その内訳は診療報酬本体+0.55%(医科+0.63%、歯科+0.69%、調剤+0.19%)、薬価△1.65%(実勢薬価改定△1.36%、薬価制度抜本改革△0.29%)、材料価格△0.09%とされました。
また、診療報酬改定における基本的視点としては、次の4つのポイントが掲げられています。
①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
②新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
 例えば、①については、患者の療養環境や希望に応じた診療が推進させるように、かかりつけ医機能を担う診療所を評価する加算の新設や、医療機能や患者の状態に応じた入院医療評価の見直し、訪問診療や入退院時の医療機関等と訪問看護との連携に対する評価など。
また、②については、緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価や、遠隔診療や医療連携を含めたICTの有効活用の推進、オンライン診療料、オンライン医学管理料の創設などが含まれています。
改定内容の詳細については厚生労働省のHPをご参照ください。

【平成30年度介護報酬改定について】
介護報酬の改定率は+0.54%となりました。
介護報酬改定における基本的視点は次の4つのポイントが掲げられています。
①地域包括ケアシステムの推進
②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
③多様な人材の確保と生産性の向上
④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

 例えば、①では一定のサービスにおいて訪問看護事業所や看護職員を評価する加算の新設や、医療機関との連携に積極的なケアマネ事業所の評価、障害福祉の指定を受けた事業所が訪問介護、通所介護、短期入所生活介護の指定を受ける基準の特例の創設などが含まれます。 また、②にでは、通所介護における生活機能向上連携加算や質の高い介護サービスの実現をめざしたインセンティブ制度の導入など自立支援を本軸に据えた改定となっている一方で、大規模通所介護事業所だけでなく地域密着型通所介護事業所の基本報酬の引き下げや、サービス提供時間の区分見直しによる引き下げも行われております。
また、今回の改定では、介護療養病床からの新たな転換先となる「介護医療院」が創設も含まれています。
改訂の詳細は厚生労働省HPを参照ください。

【平成30年度障害福祉サービス等報酬改定について】
障害福祉サービス等報酬改定の改定率は全体で+0.47%となっています。
今回の改定では主に次の5つの視点が掲げられています。
① 障害者の重度化・高齢化を踏まえた、地域移行・地域生活の支援
② 医療的ケア児への対応等
③ 精神障害者の地域移行の推進
④ 就労系のサービスにおける工賃・賃金の向上、一般就労への移行促進
⑤ 障害福祉サービスの持続可能性の確保

例えば、①の地域移行・地域生活の支援においては、施設等から居宅での自立生活を希望する場合に本人の意思を尊重しつつ、「自立生活援助」として支援するサービスの新設や、介護保険サービス指定事業所が障害福祉(共生型)の指定を受けられる特例が創設されています。 その他の視点でも、「居宅訪問型児童発達支援」報酬の設定や、就労継続支援における賃金・工賃の向上、「就労定着支援」の報酬の設定など、多様化するニーズへの充実を図る為の見直し等が行われています。
詳細は厚生労働省のHPをご参照ください。

                             篠原公認会計士事務所グループ
                      医療支援チーム
                          医療経営かわら版推進室


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