労務通信

職場で新型コロナウイルスに感染した場合の労災保険給付について

 厚生労働省は、業務によって新型コロナウイルスに感染した際、どのような場合に労災保険給付の対象になるかを案内したリーフレットを公表しました。

対象となるのは
 ◆感染経路が業務によることが明らかな場合
 ◆感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
   ※感染リスクが高い業務とは
    (例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
    (例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務
 ◆医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象

労災保険の種類
 ◆療養補償給付
  ①労災指定医療機関を受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます。
  ②やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合、一度治療費を負担してもらい後で労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。
 ◆休業補償給付
  療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合、給付を受けることができます。
  ・給付日:休業4日目から
  ・給付額:休業1日あたり給付基礎日額の8割(特別支給金2割含む)
   ※原則として「給付基礎日額」は発症日直前3か月分の賃金を暦日数で割ったものです。
 ◆遺族補償給付
  業務に起因して感染したため亡くなった労働者のご遺族の方は、遺族補償年金、遺族補償一時金などを受け取ることができます。

 また、厚生労働省では、新型コロナウイルスに係る月別、業種別の労災請求・決定件数等についても公表されていますのでご紹介します。

新型コロナウイルス感染症に係る月別労災請求・決定件数
厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症に係る月別労災請求・決定件数」 令和2年11月末時点

 

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

合計

請求件数

 

1

5

54

371

366

187

353

476

389

2,202

決定件数

 

 

 

7

48

228

229

218

232

229

1,191

※「請求件数」は当該月に請求された事案、「決定件数」は当該月に決定した事案の件数です。
※本表の内容は、請求事案の調査の進捗を踏まえ変更することがあります。

新型コロナウイルス感染症に係る業種別労災請求・決定件数
厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」 令和2年12月18日時点

業種

請求件数

決定件数

うち支給件数

医療従事者等

1,980

1,087

1,058

医療従事者等以外

572

284

282

業種別の労災請求件数を見てみると、医療従事者等からの請求が医療従事者等以外の業種からの請求と比較し3倍以上多いことが分かります。現在も新型コロナウイルスの感染拡大が続いているなか、今後も労災請求件数は増え続けていきそうです。

東京労働局ホームページ 「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」
こちら


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