厚生労働省は「前世代対応型の社会保険制度」を構築するため、健康保険法を改正することを公表しました。今回は改正内容の中から、令和4年1月から施行される傷病手当金の支給期間通算化についてご紹介します。
今回の改正により、被保険者の方に長期間療養が必要な私傷病が生じた際、症状が緩和し就労可能となった期間(傷病手当金の不支給期間)について、その期間は傷病手当金の支給期間の1年6ヶ月から除外されることとなりました。
【改正前】
支給期間は、支給開始日から起算して1年6ヶ月を超えない期間。(その間、一時的に就労したことによる傷病手当金の不支給期間も1年6ヶ月の計算に含まれる。)
【改正後】
支給期間は、支給開始日から通算して1年6ヶ月。(その間、一時的に就労した傷病手当金の不支給期間は1年6ヶ月の計算に含まない。)
改正の対象者は、令和4年1月1日の施行日以降に傷病手当金の支給期間がある被保険者。
令和4年1月1日の時点で支給期間が終了している傷病については、今回の改正の対象とはなりません。
例)6月28日にガンと診断され、その日から会社を欠勤したケース
6月28日~6月30日は待期期間 |
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7月1日~ 傷病手当金支給開始(ここから最大1年6ヶ月傷病手当金の受給が可能) |
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12月1日~ 症状が緩和したため就労開始(傷病手当金不支給期間) |
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翌年7月1日~ 症状が悪化したため再度欠勤開始(傷病手当金支給期間) |
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翌年12月31日 傷病手当金受給期間終了(改正前) |
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↓ ※参照
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翌年7月31日 傷病手当金受給期間終了(改正後) |
※上の例の場合、改正前は傷病手当金の不支給期間(7ヶ月間)を含めて支給開始日から1年6ヶ月経過した翌年12月31日で支給終了となるが、改正後は傷病手当金の不支給期間(7ヶ月間)を支給期間の1年6ヶ月に含めないため、改正前より支給期間が7ヶ月間延長されることとなる。
支給期間の1年6ヶ月は、一つの傷病毎にカウントされますのでその点は注意が必要です。
今回の改正は被保険者の方に有利な改正となりますので、申請漏れ等が生じないよう、施行日までに内容を再確認しておきましょう。