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令和3年4月からの年金受給の在り方の見直しについて
(在職老齢年金制度の見直し、在職定時改定の導入)

 令和2年6月に公布された年金制度改正法が令和3年4月から施行されます。
 この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものです。
 今回は改正が行われるものの中から、年金受給の在り方の見直しについてご紹介します。

【従来の在職老齢年金制度】
 在職老齢年金とは、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給する場合、年金額と給与及び賞与に応じて年金額を調整(減額、場合によっては支給停止)する制度です。
※年金額の調整が行われるのは老齢厚生年金に対してですので、老齢基礎年金は調整対象となりません。

 在職老齢年金は60歳以上65歳未満の方と、65歳以上の方とで年金額の調整方法・調整額等が異なります。
※老齢厚生年金の受給開始年齢は現行65歳からとなっていますが、生年月日等のいくつかの要件を満たした方については、特別支給の老齢厚生年金として、現在も一部の65歳未満の方に対して老齢厚生年金の受給が可能となっています。
・60歳以上65歳未満(低在老)
   基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円を超えたところから、金額(基本月額・総報酬月額相当額)に応じて年金額(特別支給の老齢厚生年金)の一部もしくは全額支給停止
・65歳以上(高在老)
   基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えたところから、金額(基本月額・総報酬月額相当額)に応じて年金額(老齢厚生年金)の一部もしくは全額支給停止
※基本月額とは年金額(年額)を12で割った額
※総報酬月額相当額とは毎月の賃金(厚生年金保険の標準報酬月額)+1年間の賞与
(標準賞与額)を12で割った額

【在職老齢年金制度の見直し】
 今回の改正で、60歳以上65歳未満に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度(低在老)について、年金の支給が停止される基準が現行の賃金と年金月額の合計額28万円から47万円に緩和され、賃金と年金月額の合計額が28万円から47万円の方は年金額の支給停止がされなくなります。
 なお、65歳以上の在職老齢年金制度(高在老)については、現行の基準は47万円となっており、変更はされません。

【在職定時改定の導入】
 65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映する制度です。これまでは、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。在職定時改定の導入により、就労を継続したことの効果を退職を待たずに早期に年金額に反映することで年金を受給しながら働く在職受給権者の経済基盤の充実が図られます。

 今回の改正で、60歳以上の従業員の方々がより柔軟な働き方ができるようになりそうです。

厚生労働省ホームページ
「年金制度改正法が成立しました(令和2年法律第40号)が成立しました。
こちら


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